中秋月餅

　　旧暦の8月15日は中国語で「中秋節」(zhongqiujie)と呼ばれ、一家団欒の日となる。世界各地にいる中国人にとって、春節(旧正月)に次ぐ重要な祝祭日である。この日に月を愛でながら、「月餅」を食べるのが中国人の風俗である。そのため、この「中秋節」がくるたびに、さまざまなスタイルの月餅が店頭に現れるのである。

　　月餅は、月に見立てた丸くて平たい形が一般的であるが、中国各地では、大きさ、材料、中に詰める餡などには違いがあり、大きく分かれば、北京式、天津式、広東式、蘇州式、潮州式という5つのシリーズがある。もし、餡の種類で細かく分ければ、五目ナッツや小豆のあんこ、棗のあんこ、胡麻、卵の黄身など、本当に数え切れないほどである。また、皮の違いによる分け方もある。その中で、北京と天津式の月餅は精進物を材料とするのが特徴で、一般的に水分が少なめの餡を使い、クルミや松の実などのナッツを入れたものが多いため、保存性が比較的高いといわれている。また、蘇州式は味が濃く、潮州式の月餅は形が割りと平たく、皮の色が白くて、とても柔らかな感じで、食べやすい。最も有名なのは「広東式」で、柔らかめの餡や皮を用い、塩漬けし茹でたアヒルの卵の黄身を入れたものに人気がある。小豆餡の他、ハスの実の餡やナツメ餡なども多い。